【マッチレポート】
「前半の序盤は少し固かったけれど、時間が経つにつれて修正は出来ていた。多くの観戦者が訪れてくれた中、『絶対に勝たなければいけない』という気持ちが悪い方に出てしまった部分はあるが、プレーオフに向けて良い教訓になったと思うし、収穫があった試合だったと思う。」試合後、岡山監督が振り返った内容だ。
長かったリーグ戦もいよいよ最終節。リーグ2位でのプレーオフ進出を決めている町田の対戦相手は、最後の最後まで激しいプレーオフ進出争いを演じたバサジィ大分。今季の対戦では1分け1敗とまだ勝利を手にしていない相手だ。
手に入れたいものはいつでも勝利だが、プレーオフに向け、各チームが行う分析は直近の数試合。「考えていても教えられない様々なこと」をチームが体現化すれば、それは相手チームにとってこれから始まる最終トーナメントでの有益な情報となってしまう。とは言え、大分のような強敵に勝利するには、全力でのパフォーマンスが不可欠だ。
リーグ全33節の最終節バサジィ大分戦。2044人もの観衆が来場した会場内で地元町田を沸かせる内容に挑戦する黄色の戦士たちだったが、なかなかペースが掴めない「苦しい試合展開」が続く戦いとなった。
互いに決定機を作り出す序盤となったが、結果へと繋げたのは大分。大分ゴレイロ檜山昇吾のファインセーブに得点を阻まれた中井健介に対し、自陣からのロングボールにヘディングで合わせた藤川朋樹はイゴールとの空中戦に競り勝ち、町田ゴールの形を変える。
【大分1−0町田】<5分22秒:NO21:藤川朋樹>
ボールを動かしながらゴールへと向かう町田。大分の厳しいプレスの前に苦戦するものの、新倉康明、中井、本田真琉虎洲、ボラがシュートを放つが、ポストやバー、そして檜山の好セーブが同点弾を許さず、1点ビハインドのまま前半戦を終えた。
前半スコア【大分1−0町田】
「後半戦」
前線から積極的にプレスをかけ、相手のミスを誘った町田だったが、今試合2回目の得点シーンを演出したのは、またも大分だった。町田陣内右サイドからのキックインに右足で合わせたディドゥダのミドルシュートが町田ゴールに突き刺さってしまう。
【大分2−0町田】<22分37秒:NO11:ディドゥダ>
後半開始早々の失点は選手たちの精神にダメージを与えてしまうものだ。しかし、「時間が経つにつれて修正は出来ていた」という岡山監督の言葉通り、選手たちはタフな精神力でリズムをテンポアップさせていく。
26分、左サイドで得たコーナーキックのキッカーは名手篠崎隆樹。彼の左足を離れたボールにファーサイドへと走りこんだ後呂康人が豪快な右足ボレーで合わせ、待ちに待った得点「1」をスコアボードに刻み込んだ。
【大分2−1町田】<25分12秒:NO4:後呂康人>
大声援を受け、勢いに乗る町田に対し、大分は絶対的なキーマンである仁部屋和弘が2枚目のイエローカードを受け退場を宣告されてしまう。しかもファールは6つ目だ。第2PKを得た町田は、篠崎が冷静にゴールネットを揺らし同点へと追いつくことに成功した。
【大分2−2町田】<28分54秒:NO16:篠崎隆樹(第2PK)>
5ファールの蓄積は大分を苦しめ続けた。ファールをする度に町田が第2PKを行うことが出来るからだ。
ボラが倒され、笛が鳴る。再度第2PKのチャンスを得た町田だったが、今度はゴレイロの檜山が魅せる。
残り時間1分を切ったところからパワープレーを開始した大分に対し、パワープレー返しの逆転劇を演じたい町田。しかし、新たなゴールシーンは生まれることなく、試合終了のブザーが鳴り響いた。
後半スコア【大分1−2町田】
合計スコア【大分2−2町田】
逆転するチャンスはあったが、結果は引き分け。地元町田開催での最終戦だっただけに「残念な結果だった」と思う観衆もいたことだろう。
勝利を得た瞬間の喜びは最高だ。どのチームもその結果を目指し、限界への挑戦を続けている。しかし、苦しみながらも手に入れた引き分けという結果の価値は高いはずだ。
長いリーグ戦が終了した。参加12チーム総当たり3回戦、全33節を終えた時点での最終順位は2位。今シーズン、チームは飛躍的に成長したということは証明された。
次の試合はプレーオフ進出を決めた5チームで行われるトーナメント戦。町田にとっては「未踏の地」での挑戦となる。 だが、開催地は町田。黄色の戦士たちは、これ以上ない最高のスタジアムでの勝利を目指す。
王者名古屋が待つファイナルステージへの進出を目指し、「勝て! ペスカドーラ町田!」
写真:橋本健(はしもとたけし)
記事:早川治(はやかわおさむ)
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