【マッチレポート】
この試合に勝てば無条件でプレーオフ進出が決まる。1976人もの観衆が足を運ぶ中、町田サポーターたちは地元町田での記念すべき日の祝賀準備を整えていた。
「前半戦」
日本代表候補の原辰介がドリブル突破からシュートを放てば、日本代表ゴレイロの藤原潤が弾き返す。浦安の中島孝が星翔太からのスルーパスを受け、決定機を作り出せばイゴールが立ちはだかる。
両ゴレイロとも日本を代表する選手だ。得点を奪うことは容易ではない。森岡薫が個人技での突破から1対1の場面を作り出すが、またも藤原潤がファインセーブでゴールを許さない。
今シーズン限りで現役引退を発表している元日本代表キャプテンの小宮山友祐も魅せる。絶好の位置で得た町田のフリーキックの場面、経験の豊富さを体現するブロックで篠崎隆樹の行く手を阻む。
8分にも町田は決定機を作り出す。滝田学からのボールを右サイドで受けた原辰介がファーサイドへとフリーで走りこむ中井健介へとパス。中井がダイレクトで放ったシュートの行く手に名手藤原はいない。しかし、ボールはポストに弾き返されてしまう。
この試合でのキーワードのひとつ。それは早い時間帯で積み重ねていってしまったファールの数だ。前半10分に満たない時点での町田のファール数は「5」。
スペースの選択眼、そして抜群のタイミングでの動き出しとスピードを活かした突破で裏のスペースへと飛び出した日本代表選手である加藤竜馬が決定機を作り出す。これを阻止しようと前へ出たイゴールがファールを犯してしまい、6つ目のファールを知らせるブザーが鳴り響いてしまう。第2PKだ。
キッカーの小野大輔も元日本代表選手。現在でも日本を代表するピヴォだ。大きなピンチを迎えてしまった町田だったが、守護神イゴールが抜群の反応でボールの軌道を変える。
イゴールが吠える。サポーターたちの悲鳴と歓声が響き渡る中、今試合初めてのゴールシーンがやって来る。
浦安の攻撃を奪った森岡がドリブルでゴールへと向かう。カウンターという状況ではない。3人のディフェンダープラス日本代表ゴレイロの藤原が立ちはだかる状況の中でもこの男は結果を出す。思い切りよく放った右足シュートが浦安ネットの形を変える。先制点を奪ったのは町田だ。
【町田1−0浦安】 <10分23秒:森岡薫>
ホームの大声援を受け、追加点を奪って勢いに乗りたい町田だったが、今度は浦安が魅せる。町田陣内で得たキックインの場面、中島孝からのボールを受けた荒牧太郎が強烈な右足シュートでネットを揺らすと、浦安が勢いを手に入れてしまう。
【町田1−1浦安】 <16分22秒:荒牧太郎>
カウンター攻撃からチュスのシュート。荒牧からのパスを受けた野村啓介が抜群のコントロールからの反転シュートでシュートを放つが、イゴールがファインセーブでゴールを許さない。
前半スコア【町田1−1浦安】
「後半戦」
後半最初の決定機を手に入れたのは町田。前線からのハイプレッシャーでボールを奪うことに成功した町田は、森谷優太の強烈なシュートでゴールを狙う。しかし惜しくもポストに弾き返されてしまう。
今試合、両チーム共数多くの決定機を作り出した。だが、結果を手に入れる回数が多かったのは浦安だった。
今試合3回目のゴールシーンを手に入れたのは浦安。町田の攻撃を奪った星翔太がカウンターからイゴールとの1対1を冷静に制し、スコアボードに「2」の数字を刻み込む。全員が前のめりになった瞬間での閃光カウンター。昨年の全日本選手権、ボラのパスを奪われた後、シンビーニャに得点を奪われてしまったシーンが頭に浮かんだ方もいたのではないだろうか?
【町田1−2浦安】 <25分04秒:星翔太>
失点後もチャンスは作り出せていた。しかし、より多くのチャンスメイクが出来ていたのは浦安だ。星翔太、野村啓介、荒牧太郎が町田ゴールへと襲い掛かる。
残り時間3分から町田はパワープレーを選択。滝田学がゴール前フリーとなった森谷優太へとパスを出す。誰もが同点弾の実現を期待したが、僅かにタイミングが合わずネットを揺らすには至らない。
頭を抱えるサポータたち。しかしビッグチャンスが手に入れられなかったというだけではこのシーンは終わらなかった。こぼれ球を拾った浦安ゴレイロ藤原潤がパントキックでボールを蹴り上げる。ボールは綺麗な放物線を描いて町田ゴールへと吸い込まれていった。【町田1−3浦安】 <37分27秒:藤原潤>
後半スコア【町田0−2浦安】
合計スコア【町田1−3浦安】
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この試合に勝てば無条件でプレーオフ進出が決まる。絶対に手に入れたかったものは勝利の2文字だ。
2017年2月19日日曜日。長かったFリーグ2016/2017シーズンのリーグ戦も最終節を迎える。第33節バサジィ大分戦。勝てば無条件でリーグ戦での3位という順位を手に入れることが出来る。しかし、勝利以外の結果では現在3位のフウガドールすみだを追い抜くことは出来ない。
プレーオフでのレギュレーションを考えた上でも「絶対に3位の座」をフウガドールすみだに譲るわけにはいかない。
「気持ちが強く出すぎてファールを積み重ねていってしまった」
「重要な試合ということを意識しすぎて頭も身体も固くなってしまった」
「町田らしさが出せなかった」
今まで数多くの苦しい経験をしてきた。その歴史がチームの経験値を積み上げ、「強い町田」の伝統が築き上げられてきた。
いよいよリーグ最終戦だ。「町田らしさ」を体現し、リーグ戦3位という結果を手に入れ、プレーオフでの優勝を目指そう。
「勝て! ペスカドーラ町田」
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今シーズンリーグ戦での浦安戦結果
1戦目 第6節 会場:町田市立総合体育館 町田4−3浦安
町田得点者【横江怜、中井健介2得点、原辰介】
2戦目 第18節 会場:浦安市総合体育館 浦安5−3町田
町田得点者【滝田学、森岡薫(PK)、森岡薫】
3戦目 第29節 会場:町田市立総合体育館 町田1−3浦安
町田得点者【森岡薫】
・・・・・ 第29節を終えた時点での順位等
順位:12チーム中4位
勝ち点:53 − 首位シュライカー大阪(以下大阪):77
勝敗数:17勝2分10敗 − 大阪:25勝2分2敗
総得点数:99点 − 大阪:168点
総失点数:82点 − 大阪:81点
得失点差:+17 − 大阪:+87
写真:橋本健(はしもとたけし)
記事:早川治(はやかわおさむ)
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