【マッチレポート】
「前半戦」
神戸の基本戦術は徹底していた。簡単に書けば、「引いて守り、カウンターを仕掛ける事」と「前線に長いボールを入れてから、様々な攻撃バリエーションを作っていく事」だ。
試合開始早々、思惑通りのシーンが現実となってしまう。神戸の流れるようなカウンター攻撃が町田ネットを揺らした。
【町田0−1神戸】<3分:相井忍>
前線から積極的にプレスをかけ、ボールを奪いにいった町田だったが、ゴールシーンを手に入れたのは神戸。
コーナーからのボールに中央ミドルレンジで合わせた森洸の強烈な左足シュートが町田ゴールに突き刺さった。
【町田0−2神戸】<17分:森洸>
失点直後、町田は第2PKのチャンスを手に入れるが、ゴレイロ小石峯のファインセーブに阻まれると、またもカウンター攻撃から得点を奪われてしまう。
【町田0−3神戸】<17分:稲田瑞穂>
後半に向け「きっかけ」を掴みたい町田は、右サイドからのコーナーの場面、キッカー滝田学からのボールに中央で金山友紀が合わせ、今シーズン初ゴールをスコアボードに刻み込む。
ビハインド状況ではあるが、後半戦に向け、最低限の結果は手に入れることが出来たと言えるだろう。
【町田1−3神戸】<18分:金山友紀>
前半スコア【町田1−3神戸】
「後半戦」
後半に入ると、「町田らしさ」が体現化され始める。人が動き、ボールも移動を続ける。町田らしいボール回しから決定機を作り出していくが、得点シーンは「その流れ」からではなく、今までの借りを返すような「カウンター攻撃」から生まれた。
自陣ゴール前でボールを奪った森谷優太からのパスを受けた横江怜が神戸陣内へとドリブルで持ち込むと、左サイドへと駆け上がった室田祐希へとパス。室田は冷静にゴール前でフリーとなった横江へのリターンパスを成功させ、横江の得点シーンを演出した。「町田の室田祐希」初アシストの瞬間だ。
【町田2−3神戸】<28分:横江怜>
残り時間は十分ある。ただし、「逆転劇」の為に大切な要素となるのは「次の得点」だ。
絶対に同点弾が欲しい町田だったが、自陣内で与えてしまったフリーキックから神戸に4点目を奪われてしまう。
【町田2−4神戸】<31分:相井忍>
2点ビハインドのまま時間が過ぎていく。残り時間5分からパワープレーを敢行した町田は、ゴレイロのユニフォームを着た篠崎隆樹が華麗な切り返しから右足を振り抜き、1点差へと詰め寄るが、神戸の粘り強い守備の前に追加点を奪うことは出来ずに試合終了のホイッスルが鳴り響いた。
【町田3−4神戸】<38分:篠崎隆樹>
後半スコア【町田2−1神戸】
合計スコア【町田3−4神戸】
・・・・・
新シーズンの記念すべき開幕戦は敗戦という結果に終わってしまった。しかし、町田の様々な「新バリエーション」は観戦された方々に新鮮な何かを与えたのではないだろうか?
新戦力の室田祐希は貴重なアシストを成功させた。そして、大舞台でのゴールを守った小野寺優介は安定した守備力を発揮していた。
現在は怪我の為に戦線から離脱しているが、日本を代表する選手である森岡薫とイゴール、今シーズン限りでの引退を表明したベテランの甲斐修侍等、様々な個性を持った選手たちが町田にはいる。彼らがピッチに加わった時、更なるバリエーションが生まれてくるに違いない。
次節の会場はホーム町田市立総合体育館。2016年6月19日(日)ヴォスクオーレ仙台戦は14時キックオフ。
「輝く黄色」と「何者も染める事の出来ない黒」が会場に集結する時、サポーターはFリーグの歴史を変える貴重なドラマを目の当たりにすることが出来るはずだ。
「勝て! ペスカドーラ町田!」
写真:橋本健(はしもとたけし)
記事:早川治(はやかわおさむ)
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