【マッチレポート】
開始早々町田ネットが揺れる。アルトゥールが右サイドからセグンドの位置へとフリーで走りこんだ小曽戸にパス。小曽戸が合わせたシュートを一度はピレスイゴールが弾き返すが、彼はリバウンドボールを再度町田ゴール方向へと押し返す。【大阪1−0町田】<22秒:小曽戸允哉>
試合会場はアウェイ大阪市中央体育館。大阪の応援と言えば、サンバの軽快なリズムを連想する人は少なくないだろう。しかし、今試合では小さな子供たちの大きな声が木霊し続けた。
「シュライカー大阪!!」「シュライカー大阪!!」
平日ナイターにも関わらず、会場に駆けつけた観衆の数は1864人。ホームチームの選手たちの背中をサポーターたちが力強く押す。
町田は本来の流動的な動きが生まれない。大阪のプレッシャーやディフェンス対応が良かったことは確かだ。だが、普段の彼らでは考えられないようなパスミスが目立つ展開が続いてしまう。
ここで追加点を奪うのが今日の大阪だ。イゴールが前線へフィードしたパスをゴレイロ柿原恥一朗が好判断の飛び出しでカットする。そのこぼれ球を手に入れたチアゴがドリブルで持ち込み、豪快な右足シュートを町田ネットに突き刺した。【大阪2−0町田】<7分58秒:チアゴ>
その後も大阪が決定機を作り出すが、得点を奪ったのは町田。森岡薫が高いキープ力でディフェンスを引き寄せた後、左サイドの森谷優太へとパスを通す。中央へと切り込み、思い切りよく放った森谷の強烈なミドルシュートが大阪ゴールに吸い込まれた。【大阪2−1町田】<11分16秒:森谷優太>
きっかけを掴んだ町田だったが、その僅か2分後、大阪はシンプルに得点シーンを作り出す。ゴレイロの柿原からアルトゥールへ。アルトゥールが前線左サイドにフィードしたパスを受けたチアゴは滝田をかわした後、名手イゴールの位置を冷静に確認した後、力を入れないテクニカルなシュートで町田ネットを揺らした。【大阪3−1町田】<13分19秒:チアゴ>
町田にとって苦しい展開が続く中、またも森岡が魅せる。大阪陣内左サイドで得たキックインの場面、横江怜からのボールを受けた森岡がディフェンスと対峙する。
森岡がゆっくりとボールを動かす。「何が起こるのか?」観客は息をのむ。まるでボクシングのような駆け引きが行われた後、一瞬マークを外すことに成功した森岡からのボールに横江が合わせる。1点差だ。【大阪3−2町田】<16分54秒:横江怜>
後半戦では町田がボールを動かし、大阪陣内でプレーをする機会が増えていった。しかし、残念ながら常に「ここからだ!」という時に大阪が突き放す。そういうゲームだった。
横江の得点後には、6つ目のファールで与えてしまった第2PKを決められ失点し、またも2点差とされてしまう。【大阪4−2町田】<19分17秒:ヴィニシウス(第2PK)>
残り時間4分からパワープレーを敢行する町田。大阪の堅守の前になかなかゴールが奪えない状況が続く中、残り時間37秒、篠崎隆樹からのボールを受けた金山友紀の得点で望みを繋ぐが、最後はチアゴがパワープレー中のボールを奪取。ドリブルで無人のゴールへと向かっていく。【大阪4−3町田】<39分23秒:金山友紀>【大阪5−3町田】<39分51秒:チアゴ>
合計スコア【大阪5−3町田】
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完全アウェイ。シュライカー大阪を支える人々全員が力を合わせ、最後の最後まで選手たちに力を与え続けた試合だった。しかし、もちろん町田サポーターたちの声も負けてはいない。応援の「質」は「数」で決まるものではない。大切なのはソウルだ。だからこそ、町田らしさは少しずつピッチ上で体現されていった。
強敵との対戦が短期間で続く苦しい日程だ。しかも次節の対戦相手は常にリーグ上位に顔を連ねるバサジィ大分。もちろん難しい試合になるだろう。
2016年8月14日(日)のキックオフは15時。スタジアムは町田市立総合体育館。
「学習し、成長する」。第9節で味わった悔しさは、町田にとっての糧となっている。第10節、今度は町田というホームの素晴らしさを見せつける番だ。
「勝て! ペスカドーラ町田」
写真:橋本健(はしもとたけし)
記事:早川治(はやかわおさむ)
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