第24節
  第25節

2017年11月19日(日)/17:00試合開始/町田市立総合体育館/観客1,337人
3
1
1
3
2
2

ダニエルサカイ:01分
 
 
 
室田祐希:37分
森谷優太:40分

 
03分:ロドリゴ
29分:植松晃都
32分:ロドリゴ

背番号
選手名
PS
先発
1
ピレスイゴール
GK
3
森谷優太
FP
5
篠崎隆樹
FP
7
金山友紀
FP
8
滝田学
FP
10
中井健介
FP
11
室田祐希
FP
18
西村祐飛
FP
20
原辰介
FP
22
ダニエルサカイ
FP
25
新倉康明
FP
99
森岡薫
FP
 
背番号
選手名
PS
先発
2
内村俊太
FP
6
植松晃都
FP
7
小門勇太
FP
8
刈込真人
FP
10
ロドリゴ
FP
11
林田フェリペ良孝
FP
12
上原拓也
GK
 
15
鍛代元気
FP
16
横澤直樹
FP
18
高溝黎磨
FP
44
本田真琉虎洲
FP
87
フィウーザ
GK

DUARIG Fリーグ2017/2018 第25節
湘南ベルマーレ戦 ハイライト動画

【マッチレポート】

 今回のマッチレポートは、会報誌「To do bem?」2017年11月発行号の中にある岡山孝介監督コラム内より抜粋した文章から始めようと思う。




以下抜粋文章

・・・・・

「どういうフットサルをやるべきか?」ということは、Fリーグの他チームの監督たちともよく話をします。見ている人を意識した面白いフットサルをすべきなのか、全ては勝つためだけのために試合をするべきなのか…。その二択ですら、多種多様な意見が出てきます。それでも「勝つことでファンやサポーター、そしてスポンサーも喜ぶんだから、結果が全てだ」という意見が多数派になることが多いです。 
 当然私も、結果はとても重要視しています。それでも私は、見ている人々にフットサルの面白さを存分に味わってもらいたいと強く願っています。見ている人を意識した部分は多分にあるのです。また、それと同時に、見ている人に迎合する様なフットサルはしたくないとも思っています。それらは相反するものではなく、むしろ並存するものと考えているからです。 
 例えば、一番わかりやすいというところで「パワープレーの攻防」について。パワープレーが嫌いなファンが多いと聞いても、パワープレーを止めることはありません。私がすべきことは、言われた通りにすることではなく、パワープレーの楽しさが伝わる様なプレーを見せることにあると思っています。もちろん大半の時間(例外を除く)をパワープレーに割くのは私も好きではありません。しかし、短い時間であれば試合を面白くする材料になり、とりわけ終盤の大きな山場として盛り上がりを見せることでしょう。 
 パワープレーそのものの戦術的な側面はもちろん、絶望的な状況をひっくり返す威力、リスクを冒したスリリングな攻防等、そこには様々な魅力が詰まっています。それらを感じてもらうことができれば、きっと好きになってもらえると信じているのです。

・・・ 以上本文より抜粋



「絶望的な状況をひっくり返す威力、リスクを冒したスリリングな攻防等、そこには様々な魅力が詰まっています」。



 今シーズン、「台風の目」とも言える躍進を続ける湘南ベルマーレとのリーグ戦第3戦目は、まさに前述のような魅力の詰まったスリリングな試合展開となった。

「前半戦」



 開始早々の18秒、森岡薫からのバックパスをセンターサークル付近で受けたダニエルサカイのロングシュートが湘南ネットに突き刺さる。湘南ゴレイロフィウーザが前方へと出て来た瞬間を見逃さず、迷いなく振り抜いた右足シュートがスコアボードに町田の先制点を点灯させた。



【町田1−0湘南】 <18秒:ダニエルサカイ>

 幸先の良いスタートだったが、今度は先制点を奪ったダニエルサカイがPKを献上してしまう。町田ペナルティーエリア内、ダニエルの激しいプレッシャーを受けた本田真琉虎洲が倒れた瞬間、アリーナ内にホイッスルが鳴り響く。



 PKのキッカーはロドリゴ。先制から僅か2分後、今度は湘南がスコアボードに「1」の数字を点灯させる。

【町田1−1湘南】 <2分42秒:ロドリゴ(PK)>

 その後のスコアは硬直状態が続く。互いに譲らない展開の中、ネットは揺れることなく前半戦が終了した。



前半スコア【町田1−1湘南】

「後半戦」

 後半戦序盤のペースを握ったのは町田。中井健介、原辰介のシュートが湘南ゴールへと向かうが、得点を奪うには至らない。





 23分、今試合の大きな分岐点がやって来る。湘南の攻撃を凌いだ町田がカウンターを仕掛けるが、それを阻止したゴレイロのフィウーザが自らのドリブルでカウンター返しを狙う。決定的シーンをカバーリングで阻止しようとしたイゴールだったが、決死のスライディングは内村俊太の足をすくってしまう。レフェリーが下した判定は、イゴールへのレッドカード提示。「危険なタックル」を行ったとして、守護神が退場を宣告されてしまう。



 退場者が出た後の2分間、町田は湘南よりもひとり少ない人数で戦わなければならない。選手を補充する方法は、「2分間、選手がひとり少ない状況で戦いきるか」もしくは、「失点するか」だ。

 町田陣内に湘南フィールドプレイヤー4人が集まって来る。町田のフィールドプレイヤーは3人。滝田学、ダニエルサカイ、金山友紀が「2分間の戦い」に挑む。







 通常であれば、ここで数的不利状況についての説明は終了する。フィールドプレイヤー3人プラスゴレイロの4人で守る。あとは2分間無失点でいけるかどうかだ。

 しかし、今回はここで説明を終えることが出来ない。理由は、町田がサブのゴレイロをメンバーに入れていなかったからだ。



 イゴールの代わりとしてゴレイロのユニフォームに袖を通したのは、なんと中井健介。町田にとっては、目の前に訪れた2分間の大きなピンチのみならず、残り時間全てを即席ゴレイロで戦い切るしか道が無くなってしまう。長い長い15分の始まりだ。



 「決定的ピンチ」の2分間。町田は堅守でゴールを許さない。怪我からの復帰間もない滝田学が自ら申告した交代の後には、森谷優太が素晴らしいディフェンスをみせ、ひとたび攻撃権を得れば、交代で入った森岡薫のキープで湘南の貴重な時間を削っていく。





 町田選手たちの気持ちのこもったプレーに自然と拍手が増えていく。それは「依頼された手拍子や拍手」ではない。観客自らの判断で行われた手拍子と拍手が会場内に木霊する。



 ホーム町田の応援は選手たちに力を与え続けた。長い2分間が終わり、大きな難所を乗り越えた町田だったが、ゴレイロが本職でないことに変わりはない。

 29分、植松晃都の放ったシュートが町田ネットの形を変えてしまう。

【町田1−2湘南】 <28分09秒:植松晃都>

 残り時間9分10秒、岡山監督はパワープレーの敢行を指示。ゴレイロに金山友紀を配置し、得点を奪いに行くが、ビッグチャンスを得たのは湘南。
 ゴレイロのフィウーザがパワープレー返しを狙って前線へとフィードしたボールを一度は金山が弾き返すが、そのボールにいち早く反応したのは鍛代元気。鍛代の放った強烈な右足シュートをバックアップに入ったダニエルサカイが身体を張って弾き返した後、レフェリーの笛が激しく空気を切り裂いた。



 レフェリーがダニエルに下した判定は、ゴールへ向かうボールに対する「ハンドでの阻止」。イゴールに続き、ダニエルがまさかの一発退場を宣告されてしまう。
 会場がどよめく。「故意ではない!」ダニエルがアピールするが、判定は覆ることなく、PKを得た湘南が3点目を手に入れる。



【町田1−3湘南】 <31分40秒:ロドリゴ(PK)>

 残り時間は8分もある。しかし、正規のゴレイロがいない町田にとって、ここでの失点は大きい。黄色のユニフォームを身に纏ったサポーターたちが大きなため息をつく。

 戦況は非常に苦しい。けれども、町田選手たちに焦りの表情は見えない。

・・・・・

 岡山監督の言葉が頭に浮かぶ。

岡山:「例えば、一番わかりやすいというところで『パワープレーの攻防』について」。「絶望的な状況をひっくり返す威力、リスクを冒したスリリングな攻防等、そこには様々な魅力が詰まっています」。



 ゴレイロの金山友紀からボールが動き出す。金山、森谷、森岡、室田、篠崎、金山、篠崎・・・。ゴレイロから始まった町田のパスワークの総数は、中間に入った篠崎のシュートも挟んで、実に13本。一度も湘南にボールを奪われることなく続けたボール回しの成果は、1点差へと詰め寄る室田祐希のゴールだった。



【町田2−3湘南】 <36分56秒:室田祐希>

 勢いは完全に町田だ。同点弾を期待するサポーターたちの声援が選手たちの背中を押し続ける。
 残り時間30秒、心からの応援は結果を呼び寄せる。湘南陣内左サイドで得たコーナーキックの場面、キッカー森谷からのバックパスが森岡へと向かう。森岡の次は室田、室田の次に篠崎。町田のパスワークが大きな半円を描きながら湘南選手たちをゴール前から引き出していく。プレッシャーをかけようとゴール前から離れていく湘南選手たちの後ろに出来るもの、それは大きなスペースだ。

 左サイドから始まった町田の攻撃は遠回りをしながら右サイドへと向かう。篠崎から金山、そして最後は、この攻撃のスターター森谷優太の足元へと戻って来る。



 ゴール前、完全にフリーとなった森谷はフィウーザをかわし、湘南ネットの形を変える。残り時間21秒での劇的同点弾に会場のボルテージは最高潮に達した。



【町田3−3湘南】 <39分39秒:森谷優太>

 抱き合いながらお互いの背中を叩き合うサポーターの後ろ姿が見える。黄色のタオルマフラーが回り続け、大歓声がアリーナ内に跳ね返り続けた。  



後半スコア【町田2−2湘南】
合計スコア【町田3−3湘南】

・・・・・

 結果は同点。勝ち点は「1」。もちろん、いつでも手に入れたいものは勝利の2文字、そして勝ち点3だ。
 
けれども今試合、「絶望的な状況をひっくり返す威力」を持つ戦術の力をフットサルファンは目の当たりにすることが出来たのではないだろうか?



 次節の会場もホーム町田市立総合体育館。対戦相手は現在2位のフウガドールすみだ。この試合に勝てば、チームは単独2位へと浮上することが出来る重要な試合だ。

 ホームを黄色に染め、最高の瞬間を皆で手に入れよう。



「勝て! ペスカドーラ町田」

・・・・・ 第25節を終えた時点での順位等

順位:12チーム中3位
勝ち点:51 − 首位名古屋オーシャンズ(以下名古屋):64
勝敗数:15勝6分4敗 − 名古屋21勝1分3敗
総得点数:80点 − 名古屋:118点
総失点数:53点 − 名古屋:43点
得失点差:+27 − 名古屋:+75

写真:橋本健(はしもとたけし)
記事:早川治(はやかわおさむ)
◆オフィスオサム:http://www.officeosamu.com/