【マッチレポート】
今回のマッチレポートも前回同様、会報誌「To do bem?」最新号からの抜粋文章で始めたいと思う。
以下抜粋文章 ・・・ 本紙内宮崎貴史選手へのインタビューから
宮崎:僕はシュートをどんどん打つタイプではなく、こぼれ球を狙っていくタイプです。素晴らしいシュートを打てる選手は、ダニ(ダニエルサカイ選手)や薫さん(森岡薫選手)、怜さん(横江怜)等々たくさんいるので、僕は友紀さん(金山友紀選手)のようになっていきたいと思っています。
インタビュアー:金山選手はすごいですよね。きちんとこぼれ球のところにいるし、セットプレー等では一瞬で通り過ぎていくボールの角度を変えて得点を奪う。本当にすごい選手だなぁ、と試合を観る度に思いますよ。
宮崎 そうですね。僕もあんな風になりたいです。目標の選手です。
以上本文より抜粋
「前半戦」
岡山監督は言う。「宮崎貴史は決して目立つタイプの選手ではないけれども、セットに一枚は必要なチームの潤滑油です。彼の役割は多く、素晴らしい仕事をしてくれています」。
昨シーズンよりFのピッチへと足を踏み入れた宮崎は、今シーズン躍動を続けている。待望の「F初得点」を手に入れた宮崎が、今試合では影の立役者のみならず、自身の存在感をみせつけるプレーも披露し、チームの勝利に貢献する。
開始早々の2分30秒、まずは「影の立役者」としての宮崎が魅せる。
すみだ陣内右サイドで手に入れたキックインの場面、ペナルティー外で待つ宮崎と室田祐希のマークにつく、すみだの諸江剣語と宮崎暁。マンツーマン対応での各担当者は、宮崎貴史に対し諸江、室田に対しては宮崎暁。
キックインのスターター森谷優太の足元をボールが離れる前に宮崎が動き出す。宮崎は諸江にタッチした後、室田のマークにつく宮崎暁の方へと向かう。貴史の目的は、室田をフリーにする為のブロックだ。
完全にフリーとなった室田のシュートがすみだゴールに突き刺さる。完璧なセットプレーが今試合初得点をスコアボードに刻み込んだ。
【町田1−0すみだ】 <2分30秒:室田祐希>
更に10分、宮崎の目標とする金山友紀がお手本のようなプレーで追加点を奪う。
前線から激しいプレッシャーをかけ、町田陣内でのボール奪取を狙うすみだに対し、ボールを動かしながら局面を打開する町田。その時、すみだ陣内に出来たスペースを見つけることが出来る選手が金山友紀だ。
中井健介、原辰介、横江怜。すみだのプレスを回避した町田がすみだゴールへと向かう。
すみだ陣内左サイド、横江の右足を離れたボールを一度はゴレイロの矢澤大夢が防ぐが、こぼれ球が向かった先にいたのは金山友紀。
・・・・・
宮崎:「僕はシュートをどんどん打つタイプではなく、こぼれ球を狙っていくタイプです。友紀さん(金山友紀選手)のようになっていきたいと思っています」。
・・・・・
金山友紀が滑り込みながら合わせた右足シュートがすみだネットを揺らす。
【町田2−0すみだ】 <9分24秒:金山友紀>
すみだも譲らない。現在2位という順位にいるすみだは間違いなく強い。12分、町田のプレスを掻き分け、流れるようなパスワークから、最後は宮崎暁の左足シュートが町田ネットの形を変えてしまう。
【町田2−1すみだ】 <11分42秒:宮崎暁>
待望の得点を奪い、勢いに乗りたいすみだだったが、ゴレイロ小野寺優介の安定したセービング、そして各選手の堅守で追加点を許さずに前半戦を終える。
前半スコア【町田2−1すみだ】
「後半戦」
スコアがなかなか動かずに迎えた29分、金山へとピンク色のビブスを渡し、ピッチ内へと足を踏み入れた宮崎が、すぐさま結果を出す。
町田陣内右サイドキックインからのリスタート、日根野谷建から中井健介、原辰介から日根野谷、そしてまた原へ。ボールの動きにつられ、右サイドへと集まるすみだ選手たちの位置を確認しながら、宮崎は左サイドに出来たフリースペースへ走りこむ。
原からのパスを受けた宮崎は冷静にゴレイロ矢澤大夢との1対1を制し、スコアボードに「3」の数字を点灯させた。
【町田3−1すみだ】 <28分13秒:宮崎貴史>
待ちに待った追加点に沸く会場だったが、今度はすみだの清水和也が魅せる。町田陣内左サイドで手に入れたキックインからのボールを受けた清水の強烈な左足シュートがネットに突き刺さってしまう。
【町田3−2すみだ】 <30分14秒:清水和也>
苦しい試合だ。突き放したと思えば、食らいついてくる。やはりすみだは強い。
1点差に詰め寄る得点により勢いを手に入れたすみだだったが、今度は町田が結果を出す。
すみだ陣内、田村佳翔との1対1に競り勝った森岡薫からのボールをゴール前中央で受けた中井からのパスが、ファーサイドでフリーとなった森谷優太の足元へと向かう。
名手矢澤大夢の位置を冷静に確認した後、森谷が巧みに浮かしたシュートがゆっくりとすみだゴールへと吸い込まれていく。
【町田4−2すみだ】 <30分51秒:森谷優太>
素晴らしいゴールに会場が沸く。声援と拍手で隣にいる人の話がよく聴こえない。会場内、いたるところで口元へと耳を運んだ人々の顔に笑みがこぼれる。またも2点差だ。
残り時間が無くなっていく。けれどもこのままでは終わらない。
36分、宮崎暁が放ったシュートを一度は小野寺が防ぐが、こぼれ球にいち早く反応したボラの左足シュートが町田ネットの形を変えてしまう。
【町田4−3すみだ】 <35分46秒:ボラ>
またもや1点差。残り時間は4分14秒もある。非常に苦しい展開の中、毎試合選手たちの背中を押し続けているチアグループ「フィオーレ」の中のひとりが、大きな声で空気を震わす。
「ガンバレー!!」
これはたったひとりの声だ。けれども、ひとりの声が積み重なって大声援となる。残り時間3分24秒、パワープレーを敢行するすみだの攻撃が続く中、ホームへと足を運び続けるサポーターたちの大声援とドラム音が木霊する。
「ペースカドーラ!!」「ペースカドーラ!!」「ペースカドーラ!!」
サポーターの声援は結果を呼び寄せた。残り時間7秒、今試合最後のゴールシーンを手に入れたのは町田だった。
中井健介からのキックインがすみだ陣内へと走りこんだ森岡薫の胸へと向かう。森岡の巧みなボディーコントロールが彼の左足へと移動させたボールは、エースストライカーの左足を経由した後、すみだゴールへとゆっくりと吸い込まれていく。
ゴール後、サポーターのもとへと走った森岡が何度も両手を上下させる。
「もっと、もっと皆で喜びを分かち合おう」。私の解釈はこんな感じだ。
【町田5−3すみだ】 <39分53秒:森岡薫>
後半スコア【町田3−2すみだ】
合計スコア【町田5−3すみだ】
・・・・・
死闘をものにした町田の順位は2位。首位名古屋が敗戦したことにより、勝ち点差は10へと縮んでいる。
2017年12月2日(土)、3日(日)の対戦相手は、前年度王者のシュライカー大阪、そして現在首位の名古屋オーシャンズ。
残された試合数は7試合。悲願のリーグ優勝に向け、必要なものは勝利のみだ。
「勝て! ペスカドーラ町田」
・・・・・ 第26節を終えた時点での順位等
順位:12チーム中2位
勝ち点:54 − 首位名古屋オーシャンズ(以下名古屋):64
勝敗数:16勝6分4敗 − 名古屋21勝1分4敗
総得点数:85点 − 名古屋:122点
総失点数:56点 − 名古屋:52点
得失点差:+29 − 名古屋:+70
写真:橋本健(はしもとたけし)
記事:早川治(はやかわおさむ)
◆オフィスオサム:http://www.officeosamu.com/ |