【マッチレポート】
ファーストセットＮＯ９横江怜が前線から激しいプレッシャーをかけ、相手のミスを誘う。攻撃権を得れば、ＮＯ３森谷優太が個人の突破からシュートを放つ。積極性が良い方向へと向かう立ち上がりとなった。
観客数１４６５人。ホーム府中サポーターたちの大声援が会場に響き渡る。
府中市立総合体育館の中には、何人の町田サポーターがいたのだろう？
いや、人数なんて関係ない。
町田ユニフォームに袖を通したサポーターたちの謳が耳に響く。双方の心からの思いを運ぶ空気と空気がぶつかり合った。
ＮＯ１６篠崎隆樹のプレッシャーが府中選手の技術レベルを低下させる。府中選手たちの技術力は高い。スペースを与え、自由にプレーさせてしまえば、強烈なシュートがゴールに向かってくる。全選手がパワーシューターと言っても過言ではない。フリーで打たせてしまっては、さすがのイゴールでも防ぐことは困難だ。黄色の戦士たちはハードワークを続けた。
セカンドセットＮＯ１３中井健介が決定機を演出する。
右サイドでボールを持った中井が、逆サイドゴール前へ走り込んだＮＯ２５新倉康明に絶妙のパスを通す。
新倉のヘディングシュートがゴールへ向かうが、ゴレイロＮＯ１田中俊則がファインセーブでゴールを許さない。
流れは町田が掴んだ。だが、「攻と守」が交錯し続けるスポーツ、それがフットサルだ。
ＮＯ１イゴールが、センターラインを越えて放った強烈なシュートが府中ゴールへと向かう。ゴレイロ田中が防いだボールをＮＯ１３渡邊知晃が素早く無人のゴールに向け、右足を振り抜く。それを懸命に戻ったイゴールがヘディングでクリアする。一瞬も気の抜けない展開が続いた。
１４分、先にスコアボードに得点を刻み込んだのは町田。府中キックインからのボールを中井が奪うと、ゴレイロ田中との１対１を制し、府中ネットを揺らすことに成功した。【町田１−０府中】
前半スコア【町田1−0府中】
「後半戦」
ビハインド状況の府中が前線からボールを奪いに来る。町田選手のミスを誘い、ボールを奪えば、ＮＯ５皆本晃、ＮＯ８上福元俊哉がコンビプレーで町田ゴールへと襲い掛かる。
流れは府中が掴んだ。ＮＯ１０山田ラファエルユウゴ、ＮＯ１２小山剛史、ＮＯ２３ソロカーバ、皆本が強烈なシュートを放つ。
２７分、我慢の時間が続いた町田に厳しいジャッジが下される。ゴール前で与えてしまったフリーキックの場面、プレー開始前に動いてしまったＮＯ７金山友紀が、今試合２枚目のイエローカードで退場の宣告を受けてしまう。
町田のフィールドプレイヤーは３人。失点するか、２分間耐えきる以外、選手を補充することは出来ない。
ＮＯ８滝田学、横江、森谷、イゴールが大声で声を掛け合う。失点するかしないかは一瞬の問題の積み重ねだ。あと一歩足が出るか？ あと半歩ポジションを修正出来るか？ 相手の判断力を０，１秒遅れさせることが出来るのか？
ラインの外でＮＯ１４服部慎悟は、「その時」が来るのを待ち続けた。そして、２分後、レフェリーの右手がピッチに向けられ、逆の手が服部の背中を押す。耐えきった。５人だ。
しかし、府中の勢いは止まらない。押し込まれ、耐える状況が続いたが、ゴールを許さず時間が経過していく。
時間が無い府中はパワープレーを敢行する。山田、小山、渡邊、怒涛のように押し寄せる攻撃が町田ゴールを襲い続けた。
残り時間は刻一刻と無くなっていく。だが、最後の最後に大きな山場がやって来た。
府中渡邊のキックインから流れるようなパスが通る。左サイドの渡邊から中央の皆本、右サイドの小山、完山と繋いだボールは、また中央へとポジションを移動した渡邊のもとへと戻ってくる。渡邊は丁寧に左サイドでフリーとなったＮＯ１４永島俊へとパスを通す。決定的場面だ。
永島は完璧な角度で中央へと走り込んだ小山へとパスを入れた。歓声と悲鳴が入り混じる。
だが、そのボールに合わせたのは小山よりも一瞬早く「その空間」へと走り込んだ横江怜だった。横江が左足でしっかりと捉えたボールは町田ゴールから遠ざかっていく。
両手を頭の上にあげ、サポーターは手を叩く。ハイタッチを繰り返し、何度も抱き合う。知らない顔？ そんなことは関係ない。笑い、飛び跳ね、手を叩き続ける。
「ペスカドーラ！！」
「ペスカドーラ！！」
「オーレーオーレーオーレー！！」
「ペスカドーラ！！」
「ペスカドーラ！！」
「オーレーオーレーオーレーッ！！」
「この感動は会場でしか味わう事は出来ない」とまでは言わない。けれども、この高揚感を是非会場で感じて頂きたい。２０１５年６月１９日（金）、２０日（土）、試合会場は、ホーム町田市立総合体育館だ。
後半スコア【町田０−０府中】
合計スコア【町田１−０府中】
写真：橋本健（はしもとたけし）
記事：早川治（はやかわおさむ）
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