【マッチレポート】
試合内容が良くても結果は敗戦。勝負の世界ではよくあることだ。敗者となる時の原因は、決定力不足、怪我、ミス、心の乱れ、重なっていくファール、掴めなくなったリズム、そして理論だけでは解決できない何かの積み重ね・・・。そして敗戦という結末がやって来る。
立場を変えて考えてみる。決定的場面を何度も作られるが、ゴレイロのファインセーブで失点しない。クロスバーが、ポストがゴールを許さない。ピンチを乗り越えたチームには、少しずつパワーが充填されていく。困難を乗り越えた時、チームはめざましい進歩を遂げることが出来る。
アウェイ3連戦最終節、第27節デウソン神戸戦。守り続けてきたリーグ2位のポジションは絶対に譲らない。黄色の戦士たちに必要な結果は勝利のみだ。
試合開始早々NO8滝田学から、ゴール前へと走り込むNO25新倉康明へとパスが通る。新倉のオープニングシュートは枠を捉えることが出来なかったが、幸先の良い幕開きとなったかに観えた。
しかしその直後、今度は町田陣内裏のスペースへと走り込んだNO5森洸にピンポイントのパスが通る。NO1イゴールとの1対1の場面、守護神の右手がシュートの軌道を変えるが、ボールはゴールへの進行を止めない。
あわやゴールかと思われたが、町田ポストがボールを弾き返す。
神戸の攻撃が続く。フリーキックからNO10ロドリゴの強烈なシュートが町田ゴールと向かうが、イゴールがゴールを許さない。
左サイドでボールを保持するNO7原田浩平が高いキープ力からシュートまで持ち込むが、このシュートはクロスバーが弾き出す。
ロドリゴとのコンビプレーで中央突破に成功したNO9岡崎チアゴが、イゴールとの1対1の場面で右足を振り抜くが、シュートはバーの上へと外れていく。
流れは完全に神戸が掴んだ。NO18相井忍もシュートを放つが、枠を捉えることが出来ず、町田が難を逃れるという内容で試合は進んだ。
10分、滝田がゴール前にポジションを取ったNO7金山友紀にシュート性のパスを通そうとするが、神戸NO18相井忍が阻止。コーナーキックとなった場面で岡山監督が動く。タイムアウトを申請し、バリエーション豊富な左足のキックからチャンスを作り出すNO5甲斐修待を投入し、ゴールを目指す。
コーナーからの場面ではクリアを許すが、神戸陣内サイドで得たキックインの場面から甲斐、NO9横江怜、NO6本田真琉虎洲へと繋いでのゴールを狙うが、神戸ゴレイロNO1冨金原徹が立ちはだかる。
タイムアウトは「きっかけ」になった。その後は互いが攻め合う展開となる。
横江がシュートを放てば、ロドリゴも打つ。滝田が右足を振り抜けば、冨金原が防ぐ。
悪い状況は、すこしずつ良い方向へと変わりつつあった。だが、先制点を奪ったのは神戸。17分、右サイドで得たコーナーキックの場面でのキッカーはロドリゴ。彼の左足を離れたボールが、直接町田ゴールへと吸い込まれてしまう。
【神戸1−0町田】<16分56秒:NO10:ロドリゴ>
神戸に再び勢いがつく。森、ロドリゴ、岡崎が放つシュートは、すべて町田ゴール枠内へと飛んでくるが、守護神イゴールが鉄壁の守備でゴールを許さず、最少ビハインドの1点差で前半戦を終えた。
前半スコア【神戸1−0町田】
「後半戦」
苦しい前半戦だったが、得点差は「1」。しかも、猛攻にも耐えた上で得たものは多い。今度は町田の番だ。
滝田からゴール前へと走り込んだ金山へとパスが通る。金山がシュートを放つが、ボールはゴール僅か左へと逸れていってしまう。
ハーフタイムという時間はなんと「意味のあるもの」なのだろうか。前半同様神戸選手がボールを動かし、町田ゴールへと向かおうとするが、黄色の戦士たちのディフェンスレベルが上がっている。集中したディフェンスでチャンスの芽を摘むと、後半開始後、「絶対にほしかったもの」が手に入る瞬間がやって来た。
神戸陣内でボールを奪ったNO16篠崎隆樹が甲斐へとパスを出す。甲斐は絶妙のタイミングで左サイドにポジションを取ったNO3森谷優太へとパス。全身の力を乗せた森谷の弾丸シュートが神戸ゴールに突き刺さった。
【神戸1−1町田】<24分42秒:NO3:森谷優太>
町田のリズムが聴こえてくる。人が動き、ボールが軽快に移動を始めると、NO4後呂康人、本田がシュートを放ち、追加点を狙う。
34分、イゴールが決定機の演出を手掛ける。 裏への突破を試みた神戸の攻撃を好判断の飛び出しで奪うことに成功したイゴールが、左サイドの後呂へとパスを通す。
後呂の右足を離れたボールはポストに弾き返されてしまうが、予期せぬボールの軌道変化は、バックアップに入った神戸選手のオウンゴールを誘発した。
【神戸1−2町田】<33分29秒:オウンゴール>
前半戦とは一転、追う展開へと変わってしまった神戸は、岡崎がゴールを目指すが、イゴールが抜群のポジショニングで堅守。ゴールを許さない。
激しくプレスをかけ、ボールを奪いにいきたい神戸だったが、積み重ねていったファウルが5つ溜まっている。次のファウルは、リードする町田に第2PKのチャンスを与えてしまうことになる。ジレンマが神戸選手のプレスレベルを下げる要素となる。
時間が無くなっていく。神戸は岡崎をゴレイロにパワープレーを開始し、町田ゴールへと向かうが、ネットは揺れることなく時間が過ぎていった。
ゴレイロ冨金原が最後のチャンスにかける。スローイングから町田ゴール前へとボールをフィードするが、ボールは直接町田ゴールへと吸い込まれていってしまう。
所々で歓声が沸き起こった。だが、ゴレイロからのスローによる直接ゴールは認められない為、試合はイゴールのスローイングからの再開となる。
イゴールが空高くボールを投げると、試合終了のブザーが鳴り響いた。
後半スコア【神戸0−2町田】
合計スコア【神戸1−2町田】
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アウェイ3連戦での戦績は1勝2敗。すべてが苦しい試合だった。
町田の今試合前日に試合を行ったフウガドールすみだに1日は2位の座を譲ったものの、同節終了時での順位では、歯をくいしばりながら保ち続けてきた2位のポジションを維持することに成功した。
さぁ、これからは町田での3連戦だ。あの環境で手に入れるべきものは常にひとつ。最高の仲間と満面に笑みを浮かべよう。
プレーオフ進出へ向かい、更にペースを上げていく為に必要な人がいる。それは最高の伴走者だ。マフラー、シャツ、帽子、タオル、黄色であれば何でも良い。細かいルールなんて何にもない。アウェイの白ユニフォーム、ゴレイロのカラーである水色、赤色も大歓迎だ。
最終節のセントラル開催を含めれば、リーグ戦の残り試合数は4試合もある。
勝利を目指す仲間が増えれば増えるほど、黄色の戦士たちのパフォーマンスは上がっていくに違いない。彼らに力を与え、私たちも揺れる会場内で仲間と共に抱き合おう。いつの日か必ず、会場内が町田色に染まる日が来るはずだ。
「勝て! ペスカドーラ町田!」
写真:橋本健(はしもとたけし)
*使用している写真は、第27節のものではございません。
記事:早川治(はやかわおさむ)
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