2016年3月12日(土)/14:00試合開始/国立代々木競技場第一体育館/観客2,391人
3
0
1
1
3
0

 
中井健介:26分
本田真琉虎洲:29分
篠崎隆樹:30分

08分:山田ラファエルユウゴ
 

 
 

背番号
選手名
PS
先発
1
イゴール
GK
2
日根野谷建
FP
3
森谷優太
FP
4
後呂康人
FP
5
甲斐修侍
FP
6
本田真琉虎洲
FP
7
金山友紀
FP
8
滝田学
FP
9
横江怜
FP
10
ボラ
FP
12
小野寺優介
GK
 
13
中井健介
FP
16
篠崎隆樹
FP
20
原辰介
FP
 
背番号
選手名
PS
先発
1
田中俊則
GK
 
6
関尚登
FP
7
小檜山譲
FP
8
上福元俊哉
FP
9
宮田義人
FP
10
山田ラファエルユウゴ
FP
12
小山剛史
FP
14
永島俊
FP
18
三井健
FP
21
柴田祐輔
FP
23
ソロカーバ
FP
24
江口学
FP
 
25
完山徹一
FP
96
クロモト
GK

【マッチレポート】



  第21回全日本フットサル選手権準決勝第一試合、ペスカドーラ町田対府中アスレティックFC戦。2391人の観衆が見守る中、定刻14時にボールは動き始めた。
 Fリーグ2015/2016シーズンのプレーオフ初戦では、シーズン総合第2位という素晴らしい結果を得たにも関わらず、府中アスレティックFCに敗戦を喫し、早々にリーグ優勝チームである名古屋への挑戦権を失ってしまった町田。あまりにもショッキングな結果が歴史に刻みこまれた日、それは2016年1月5日のことだった。
 あれから2カ月、誰がこのようなかたちで「借りを返すことが出来得る未来の到来」を予想しただろう?



「プレーオフの悔しさは全日本選手権で晴らす!」
 プレーオフ第2戦で敗戦を喫したフウガドールすみだへの借りは返した。次は府中に勝利することが黄色の戦士にとっての使命だ。
 今一度書こう。キャッチフレーズの条件は完璧に揃った。「誰が強いのか、けりをつけようぜ」



「前半戦」

 今シーズン、躍進の原動力になった「クアトロゼロ(4−0)」。流動的な動きから様々な攻撃バリエーションを創り出す戦術で町田が府中ゴールへと向かう。
 クアトロという戦術では、裏にスペースがあった方が、より攻撃のバリエーションが増えていく。府中のプレスラインは町田にとって大きなポイントとなる。
 もちろんプレスラインが下がったとしてもクアトロが機能しなくなる訳ではない。だが、「能力を発揮しやすい状況」は、「引いて守られる」よりは「積極的にプレスをかけてくれる」方だ。



 ボールを動かしながら「仕掛け」のタイミングを狙う町田選手たち。町田クアトロが逆「への字」の形を創り出す。対する府中のプレスラインを見る。大きな身体の選手たちの裏にスペースはあった。面白い試合になりそうだ。



 町田がシュートすれば、府中もやり返す。ボールを奪われれば、全力で帰陣し、相手選手に100%の力を発揮させない。素晴らしいシュートがゴールへと向かえば、ゴレイロのファインセーブが行く手を阻む。準決勝らしい好ゲームで試合は進んだ。



プレーオフでは先制点を奪われた後、常に「追う展開」となってしまった町田。今試合では先制する展開で試合を進めたかったが、先制点をスコアボードに刻み込んだのはまたしても府中。ゴール前左サイドで与えてしまったフリーキックの場面、NO10山田ラファエルユウゴの強烈なシュートがネットに突き刺さってしまう。



【府中1−0町田】<8分:NO10:山田ラファエルユウゴ>

前半中に追いつきたい町田だったが、身長180cmクラスの選手たちが揃う府中がゴール前に立ち並ぶ中、パスを通す為のスペースを創り出すのは難儀な作業だ。「針の穴」はなかなか通せずに前半戦が終了した。



前半スコア【府中1−0町田】

「後半戦」



 恵まれた体格を活かした府中選手たちのキープ力の前になかなかゴールを奪えない町田。時間が刻々と過ぎていく。



 試合前、ピッチへと入場する選手たちを映し出した大型ビジョンでは、にこやかに声をかける府中選手たちがいた。NO96クロモト、NO23ソロカーバが、NO1イゴールピレス、NO10ボラに笑顔で話しかけている。
 そんな中、険しい顔つきで歩く選手が画面内にいた。NO13中井健介、NO7金山友紀だ。



「熱い試合約束します。」これは中井がどのような状況になろうとも、常にチームを愛し続けてくれるサポーターたちに宣言している言葉だ。26分、虎視眈々とゴールを狙い続けていた中井が会場の声援に応える。金山が右サイドから裏のスペースへと飛び出した中井へピンポイントのパスを通す。中井が合わせたシュートは、一度は防がれてしまうが、そのボールが向かうべき方向へと健介がボールの軌道を修正する。待ちに待った瞬間の到来だ。サポータは吠え、黄色のタオルが空気を切り刻む。同点だ。







【府中1−1町田】<26分:NO13:中井健介>

 29分、今度はNO6本田真琉虎洲が魅せる。相手陣内でボールを奪った本田が左足を振りぬく。名手クロモトの手は届かない。サポーターが大声で叫び、拳を天に向け突き上げた。「2対1」、プレーオフでは見ることの出来なかったシーン、逆転の瞬間が現実となった。喜び、抱き合うサポーターたち。歓喜の歌声が代々木体育館に響き渡る。





【府中1−2町田】<29分:NO6:本田真琉虎洲>

 町田のギアが上がっていく。更に30分、NO16篠崎隆樹が府中陣内でのボール奪取に成功。右足でネットの形を変える。普段はクールな篠崎がエンブレムを掴み、大声で吠えた。この瞬間の為に努力を続けているんだ。





【府中1−3町田】<30分:NO16:篠崎隆樹>

 ラスト5分、府中のパワープレーが始まった。長く苦しい無酸素運動が続く中、黄色の戦士たちは勝利を目指し走り続ける。



 クリアをする度に何度ガッツポーズを繰り返しただろう? 篠崎の得点後、ネットは一度も揺れることなく、試合終了のブザーが激戦の終了を告げた。







後半スコア【府中0−3町田】
合計スコア【府中1−3町田】

・・・・・

 府中に、そしてすみだに勝利を収め、プレーオフでの借りは返した。これで「プレーオフの悔しさは全日本選手権で晴らす!」というミッションは終了したのだろうか?



 リーグ戦全33節終了後、町田が目指していた場所はどこだったのだろう? それはFリーグ2015/2016リーグ戦王者の名古屋オーシャンズが待つファイナルラウンドへの進出、そしてそこでの勝利を収めることだった。



 舞台の準備は整った。2016年3月13日午後3時、王者名古屋に挑戦する時がやってくる。これが今シーズンのファイナルマッチだ。

「誰が強いのか、けりをつけようぜ」





「勝て! ペスカドーラ町田!」


写真:橋本健(はしもとたけし)
記事:早川治(はやかわおさむ)
◆オフィスオサム:http://www.officeosamu.com/