【マッチレポート】
前節では、西村祐飛のFリーグ初得点、そして中井健介のハットトリックなどを含む大量9得点を挙げ、エスポラーダ北海道を下した町田。
ホーム第2戦、今試合でも記念すべき「F」初ゴールの瞬間を手に入れた男がサポーターに向かって大きく手を振った。
「前半戦」
先制点を奪ったのは町田。3分7秒、ディフェンス2人を引き付けた森岡薫が森谷優太へとパスを出す。森谷がコンパクトなスイングから放った右足シュートが北海道ネットを揺らす。
【町田1−0仙台】 <3分07秒:森谷優太>
町田のゴールが続く。8分、仙台のパス回しを奪うタイミングを虎視眈々と狙う室田祐希が魅せる。
「相手はこれからどのようなパスを繋いでいこうとしているのか?」
「どこが奪いどころなのか?」
「相手のパススピードは速いのか? 遅いのか?」
「自分、そして仲間はボールの移動中にどれだけ相手にプレッシャーをかけられるのか?」
選手たちは「これから起こり得る」様々な可能性についての「予想」を続けている。ハイレベルな選手であればあるほど、その質は高く、ほんの少しのパススピードの遅さや角度の悪さ、サポートの位置や距離のレベルの質が命取りになる。
今試合の室田祐希の得点シーンはその分かりやすい例だった。仙台陣内、仙台ボールで始まったキックインの場面、室田は「その瞬間」を見逃さない。ボール移動中のハイプレッシングが相手のミスを誘う。室田の身体に当たったボールが仙台ゴールへと吸い込まれていく。
【町田2−0仙台】 <7分46秒:室田祐希>
町田の3点目も大変見どころのあるシーンだった。仙台陣内左サイドで得たキックインの場面、リスタートの為にボールをセットしたのは中井健介。
誰もが中井のパスからの再開を想像した次の瞬間、中井はボールを蹴らずにゴール前へと走り出す。
中井の後にボールのもとへと走ってきたのは日根野谷建だ。日根野谷からのキックインをペナルティー内でフリーとなった中井がコントロールする。ゴレイロとの1対1を制した中井のシュートが仙台ネットに突き刺さった。
このシーンでの仙台の大きなミスは「マークの受け渡しの曖昧さ」だ。後ろに次のディフェンスがいると思い、中井の進入を「そこにいるはず」のディフェンダーへと託してしまうが、「ひとりでふたりのマーク」は出来ない。あとは中井の決定力次第だ。
貴重な経験を積み続ける新10番がスコアボードに「3」の数字を点灯させた。
【町田3−0仙台】 <14分48秒:中井健介>
2017年7月1日土曜日、Fリーグ2017/2018第4節ヴォスクオーレ仙台戦、会場ホームアリーナ町田市立総合体育館。18分34秒、宮崎貴史のFリーグ初ゴールの瞬間がやって来る。
宮崎からのパスを前線で受けた横江怜がサポートに向かった室田祐希へとパスを落とす。ゴール前ファーサイドへと走りこんだ宮崎へと室田が丁寧に通したパスに背番号19が合わせる。仙台選手たちは、横江、室田に引き寄せられている。宮崎の前にはゴレイロすらいない。
右足で丁寧に合わせたシュートがネットの形を変える。「F」初得点という記念すべきゴールを祝う為にチームメイトたちが宮崎のもとへと駆けつけた。
喜びに震える宮崎に、横江怜が人差し指をサポーター席に向けながら声を掛ける。町田のピッチで何度も戦いを続けてきた先輩が後輩に何かを伝えている。何と言っていたのだろう?
「ほら、声援に応えて」といったところだろうか?
【町田4−0仙台】 <18分34秒:宮崎貴史>
前半スコア【町田4−0仙台】
「後半戦」
後半に入っても主導権を握り続けたのは町田。29分には試合を決定づける金山友紀の追加点で5点差とする。
【町田5−0仙台】 <28分16秒:金山友紀>
ラスト27秒、完封を目前に控えた町田は決定的なピンチを迎える。
仙台の若林勤也がカウンターから松木裕功へとパスを通す。松木は町田ゴール前ファーサイドへと走りこんだ若林へとピンポイントパスを通すが、若林よりも早くヘディングでそのボールに合わせたのは懸命に戻った森谷優太。
最後の最後まで諦めないのは町田も同じだ。前節では完封勝利を逃してしまった黄色の戦士たちが、今試合では得点「1」すら許さない。
後半スコア【町田1−0仙台】
合計スコア【町田5−0仙台】
・・・・・
大量得点での勝利時には「得点者」が脚光を浴びるものだ。しかし、今試合、最初のビッグチャンスを掴んだのは仙台だった。
イゴールは素晴らしいゴレイロだから、スーパーセーブが普通のセービングに見えてしまうことが多々ある。だが、より深く試合を観れば、イゴールの凄さに驚かされるに違いない。
イゴールだけではない。中井のトリックプレーからの得点シーンにも象徴されるように、町田は「フットサルにおける可能性について」常に模索し続ける指導者たちがいる。
レギュラー、サブ、アスピランチ、U−18、U−15、様々なカテゴリーの中で成長を続ける選手たちがトップの試合に集まった時、町田は更なる進化をみせてくれることだろう。
「勝て! ペスカドーラ町田」
・・・・・ 第4節を終えた時点での順位等
順位:12チーム中2位
勝ち点:10 − 首位名古屋オーシャンズ(以下名古屋):12
勝敗数:3勝1分0敗 − 名古屋:4勝0分0敗
総得点数:20点 − 名古屋:15点
総失点数:4点 − 名古屋:7点
得失点差:+16 − 名古屋:+8
写真:橋本健(はしもとたけし)
記事:早川治(はやかわおさむ)
◆オフィスオサム:http://www.officeosamu.com/ |