【マッチレポート】
2017年7月22日に行われたFリーグ第7節湘南ベルマーレ戦、「1対5」で敗れた町田は連続敗戦記録を「3」に更新。第5節、6節、7節での合計得点数は「2」。失点数「17」。1試合平均失点数は、まさかの「5.66」だった。
結果の理由は様々だ。その理由のひとつとして、「ミスター町田のひとり、日本を代表するフィクソ滝田学の怪我による戦線離脱はチームの合計失点数に大きな影響を与えている」と書いても、反論はそれほど出ないのではないだろうか?
「ベッキ(フィクソ)がいない」。第6節名古屋戦後、キャプテン森岡薫が口にした言葉通り、チームは今シーズン最初の難所を迎えていた。
第8節ではアグレミーナ浜松を相手に辛勝するものの、失点数は「5」。その後は大分、府中といった強敵を相手に粘り強い戦いで勝利を収め、連勝記録を「3」へと伸ばした町田。「波に乗れた」と言いたいところだが、次なる対戦相手は、昨年のFリーグ覇者シュライカー大阪。爆発的な攻撃力で得点を量産するチームを相手に町田はどのような戦いをするのか?
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2017年8月16日、注目の1戦を目前に控えた町田は衝撃的なプレスリリースを掲載する。
それは「ダニエルサカイ選手の入団」。2014年フットサルブラジル代表、昨シーズンは名古屋オーシャンズのユニフォームを身に纏っていた「ベッキ(フィクソ)」の入団発表だった。
「前半戦」
「町田のラファエルサカイ」。彼はデビュー戦から存在感を見せつけた。フットサルを観戦する立場の人からすれば、一番分かり易い「目立つ選手」というのは、「得点を取る」選手だろう。
ダニエルサカイは得点を取ることも出来る。しかし、彼が抜群に目立つシーンは、「恵まれた身体を活かした肉弾戦」、「貴重な経験を積み重ねながら手に入れた抜群のポジショニング能力」、そして、「試合の流れを読む力」と「どのような状況になっても揺るがない精神力」だ。
素晴らしい仲間を加えた町田は王者を相手にチャンスを作り続ける。篠崎隆樹、森岡薫、室田祐希らが大阪ゴールへと向かうが、得点は奪えずに試合は進んでいく。
もちろん大阪も譲らない。大阪の攻撃力は今シーズンも健在だ。14試合を終えた時点での大阪の総得点はリーグ2位の「58」。しかし、今試合町田は得点を許さない。
ピンチは何度も迎えていた。だがその時、大阪選手の前に立ちはだかるのが、ダニエルサカイ、そして守護神ピレスイゴールだった。
スコアレスで試合が進む中、町田は素晴らしい時間帯でのゴールを手に入れる。
前半残り29秒、森岡からのボールを受けた室田が得意のドリブルで大阪選手の包囲網を抜け出すと、最後は右足でネットを揺らすことに成功する。
【町田1−0大阪】 <19分31秒:室田祐希>
前半スコア【町田1−0大阪】
「後半戦」
「決めれば勝つ」。王者を相手に貴重な追加点を挙げたのはキャプテン森岡薫だった。
大阪陣内、室田の激しいプレッシャーでボールを奪うことに成功すると、室田はフリーとなった森岡へとパス。町田のエースはゴレイロとの1対1を冷静に制し、スコアボードに2点目を刻み込む。
【町田2−0大阪】 <26分28秒:森岡薫>
大阪がギアを上げる。きっかけを手に入れたい大阪だったが、町田は粘り強い守備で得点を許さない。
町田が波に乗る。室田、原辰介、中井健介らが決定機を作り出していくが、追加点を奪うには至らずに時間が経過していく。
時間がない大阪はパワープレーを敢行。しかし、今試合3回目の得点シーンを手に入れたのは町田だった。
大阪のパワープレーを奪った中井からのボールを受けた森岡が相手を引き付ける。森岡からのラストパスを受けた中井がパワープレー返しを成功させた後には、チームメイトからの手荒い祝福が待っていた。
【町田3−0大阪】 <35分11秒:中井健介>
残り時間6秒。ホームゲームへと足を運んでくれたサポーターたちにイゴールが今試合最後のゴールシーンをプレゼントする。残り時間10秒、ヴィニシウスのシュートをキャッチしたイゴールの右足から放たれたシュートは綺麗な放物線を描き、大阪ゴールへと吸い込まれていった。
アリーナ内のいたる所で黄色のタオルマフラーが回り続ける。立ち上がった観客は両手を高く突き上げ、満面の笑みで拍手の雨をピッチへと落とし続けた。
【町田4−0大阪】 <39分54秒:ピレスイゴール>
後半スコア【町田3−0大阪】
合計スコア【町田4−0大阪】
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2017年9月8日現在、「あの3連敗」から町田は1試合も敗戦を喫していない。
「7試合連続負けなし」の記録に勝ち点「3」を上乗せし、首位名古屋を追従するには、2017年9月9日(土)、相模原市立総合体育館にて行われるホームゲームでのサポーターたちの後押しが不可欠だ。
プレーオフでの戦いの厳しさは皆が分かっている。王者になる為、絶対に手に入れたい結果は「リーグ戦での優勝」だ。
「勝て! ペスカドーラ町田」
・・・・・ 第11節を終えた時点での順位等
順位:12チーム中4位
勝ち点:22 − 首位名古屋オーシャンズ(以下名古屋):31
勝敗数:7勝1分3敗 − 名古屋:10勝1分0敗
総得点数:42点 − 名古屋:57点
総失点数:29点 − 名古屋:16点
得失点差:+13 − 名古屋:+41
写真:橋本健(はしもとたけし)
記事:早川治(はやかわおさむ)
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