【マッチレポート】
2017年6月18日、Fリーグ2017/2018第2節、バルドラール浦安との今季初対戦の試合結果は2対2のドローで幕を閉じた。
残り時間1秒での同点劇。試合終了後、ホーム浦安サポーターが発した言葉がいつまでも頭の中から離れない。
赤色のユニフォームを着た男性が満面の笑みを浮かべて口を開く。「ペスカドーラ、まるで負けたみたいだな」。
あと1秒・・・。「その1秒」はひとつひとつの行動の積み重ねから生まれる。
「ドリブルの角度が違っていたら」「もう少し長くキープが出来ていれば」「もっと高くボールを上に投げることが出来ていれば」「もっと大きな声を出し、選手たちを鼓舞し続けることが出来ていれば・・・」。言い出せばキリのない「ちょっとしたこと」をどれだけ丁寧に、したたかに実行出来るのか?
プレーイングタイム40分。実際にピッチ内で選手たちがプレーを出来る時間は前後半20分ずつ、サッカーの半分にも満たない時間だ。
けれども、選手たちが戦っている時間の合計は20分ずつではない。アウトボール時に経過していく時間、ファール等で中断されるプレーイングタイム。一瞬でも気を緩めれば、自分の眼の前でネットが揺れている状況を目の当たりにしなければならない未来がやって来る。
「一瞬の気の緩み」が失点に繋がるピッチの広さは、フットサルの魅力であり、この競技の難易度をあげている要素のひとつだろう。
「前半戦」
今試合の試合結果は「0対1」。「貴重な1点」を守り切った町田が勝利を手に入れる。
ネットが揺れ、ゴールの歓喜の瞬間が訪れたのは1回だけ。しかし、試合内容は非常にエキサイティングなものだった。
両チーム共に決定機を何度も作り出していた。数々の攻撃バリエーション、強烈なシュート、流れるような連携プレー、「得点シーン」は生まれなくても、サポーターたちはフットサルの魅力を感じることが出来る試合内容だったに違いない。
今試合、ロースコアでゲームが終了した大きな理由。それは、日本代表ゴレイロ、藤原潤とピレスイゴールのスーパーセーブの連続によるものと言っても過言ではないだろう。
両チーム決定機を作り出す。浦安の野村啓介、永島俊、星翔太、中島孝らのシュートが町田ゴールへと向かうが、イゴールが得点を許さない。
町田も譲らない。森岡薫、原辰介、中井健介、宮崎貴史、ダニエルサカイらも決定機を作り出していくが、名手藤原潤が立ちはだかる。
前半スコア【浦安0−0町田】
「後半戦」
後半に入っても両ゴレイロのファインセーブが続く。
横江怜のコーナーからのボールにボレーで合わせた森岡の強烈なシュートが浦安ゴールへと向かうが、藤原の左足が行く手を阻む。
室田祐希がカウンター攻撃で藤原との1対1の場面を作り出す。しかし、この場面でも軍配は藤原にあがる。
「フットサルの魅力を感じることが出来るのは得点シーンだけではない」
そんな言葉が頭に浮かぶ試合内容で試合が進む中、今試合初めてネットが揺れる。
30分46秒、浦安ゴール前、ピヴォの位置で森岡からのパスを受けたダニエルサカイが「ピヴォ顔負け」のコントロールから右足を振り抜き、牙城を崩すことに成功する。
突き上げた両拳が大きく広がり、左右の掌が何度もぶつかり合う。やはり、ゴールの瞬間は最高だ。
【浦安0−1町田】 <30分46秒:ダニエルサカイ>
追い風が吹き始める。勢いを手に入れた町田が浦安ゴールへと襲い掛かる。
中井健介、ダニエルサカイ、横江怜のシュートが浦安ゴールへと向かう。だが、藤原が、そして、ゴールバーが行く手を阻む。
残り時間2分42秒、タイムアウトを申請した浦安高橋健介監督はパワープレーの開始をキャプテン星翔太に告げる。
青色のユニフォームに袖を通した星がピッチへと向かう。前節同様、両チームの「根比べ」のスタートだ。
「町田魂」。横断幕を背に選手たちが無酸素運動を続けている。
サポーターたちの気持ちは、ピッチの選手たちに力を与えている。それは「目には見えない力」ではない。明らかに「目に見える力」となり、選手たちを最後の最後まで目的へと向かわせている。
時の刻みを知らせるスコアボード内で急激に数字が変化していく。「0コンマ1秒」の積み重ねが「残り時間ゼロ」へと近づいていく。
試合終了を告げるブザーがアリーナ内に鳴り響く。「0対1」。1点差を守り切った町田選手、サポーターたちは安堵のため息をついた。
後半スコア【浦安0−1町田】
合計スコア【浦安0−1町田】
2017年9月23日現在、町田の快進撃は衰えを見せていない。首位名古屋を追撃する為には、9試合連続負けなしの記録を「10」に伸ばすことが必須条件だが、目の前に立ちはだかるのは、強敵フウガドールすみだ。
すみだを撃沈し、エコパアリーナで勝利を手に入れろ。
「勝て! ペスカドーラ町田」
・・・・・ 第13節を終えた時点での順位等
順位:12チーム中3位
勝ち点:28 − 首位名古屋オーシャンズ(以下名古屋):34
勝敗数:9勝1分3敗 − 名古屋:11勝1分1敗
総得点数:45点 − 名古屋:61点
総失点数:30点 − 名古屋:19点
得失点差:+15 − 名古屋:+42
写真:橋本健(はしもとたけし)
記事:早川治(はやかわおさむ)
◆オフィスオサム:http://www.officeosamu.com/ |